【第2回将棋電王戦第1局】阿部光瑠四段vs習甦




(この文章は2013年3月25日に書いたものです)

プロ棋士5人とコンピュータ5台の団体戦の初戦に、弱冠18歳の阿部光瑠四段が抜擢された。

はっきり言って、こんなに割の合わない役目はないと思う。
今回の電王戦は、プロ棋士側にとってリスクが大きすぎる。

コンピュータ(プログラマ)側は、たとえ今年負けても(もちろん負けたらプログラマは悔しいだろうが)、また来年頑張りましょうね~(コンピュータは毎年少しずつ強くなっている)、ですむ話である。

しかし、プロ棋士が負けた場合はそうはいかない。

史上初めてコンピュータに負けたプロ棋士として(公の対局で男性の現役のプロ棋士がコンピュータに負けたことは一度もない)、歴史に名前を刻まれてしまうことになる。

コンピュータは強い。本当に強い。
先日まで行われていた、『GPS将棋(今一番強いコンピュータソフト)に買ったら100万円』という企画で、アマチュアの全国大会優勝者などが次々とコンピュータに負けているのを見て、多くの人がそう感じたはずだ。

プロ棋士だって、負ける可能性は充分にある。

多くのものを背負い、プレッシャーを感じるこの状況を、阿部光瑠四段はこう表現した。

 

「強いソフトと指せるので、すごく嬉しかったです」

 

そして、対局が始まった。

将棋は、強くなればなるほど、戦いが始まる前に勝敗が決まることが多い、と言われている。

将棋は、序盤、中盤、終盤と、大きく三つに分かれている

序盤では、戦いが始まる前に、王様を囲ったり、攻めの体勢を整えたりする。
中盤では、自分の駒と相手の駒とぶつかり、駒を取り合って戦いが始まる。
終盤では、中盤で取った駒を使いながらお互いに王様を詰ましにいき、先に詰ましたほうが勝ちになる。

プロの対局では、戦いが始まる前の序盤でいかに良い形を築くかで、勝敗が大きく左右される。

羽生義治三冠の何かの本で、これを相撲でまわしを取ることに例えてあった。
相撲でも、まわしをお互いにつかんで組み合った瞬間に、手首の位置や腰の重心の入れ方など良い形で組んだほうが勝ちやすいと思うのだが、将棋でも同じことが起こっている。

駒と駒がぶつかってから考えても、もう遅いのだ。

今回の対局で、阿部光瑠四段は、序盤で左側の端歩(香車の上にある歩)を二手指して伸ばした。

この手をコンピュータは評価できなかった。

プロ棋士が端歩なんか突いている間に、自分は攻撃態勢を築けたのだから、自分のほうが優勢だ、とコンピュータは評価していた。

しかし実際は、この端歩が勝敗を分けた。

コンピュータが果敢に攻めてきたが、阿部四段はそれをうまく受け、端に王様を逃がした。
そのとき、序盤で端歩を二手指して伸ばしていたおかげで、端から王様の逃げ道ができていた。

コンピュータの攻めが終わったあとは、落ち着いて反撃をして、結果を見れば阿部四段の完勝だった。

戦いが始まる前に、どんな戦いになるかを予想して、そのための手を前もって指しておく。
その序盤戦術で、阿部光瑠四段がコンピュータ(習甦)を凌駕した。

今回はプロ棋士が勝ったが、まだまだ油断はできないだろう。
あと4局、さらに強いコンピュータとの戦いが待っている。

人間に勝ってほしい。

そして、真剣に考えることのかっこよさを、見せつけてほしい。

 

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