執念の引き分け【第2回電王戦第4局】塚田泰明九段 VS Puella α




(この文章は2013年4月16日に書いたものです)

コンピュータにも弱点はある、と言われている。

その一つが、今回の対局のような入玉である。

入玉とは、相手の陣地まで自分の王様を逃がすことで、上部の敵陣まで逃げるのはかなり大変なのだが(途中で詰まされるリスクはかなりある)、逃げ切ってしまえば安心なゾーンなのである。

そして自分の王様が詰まされない位置まで逃げたあとで、じっくり相手の王様を詰まそう、というのが塚田九段の指し方だった。
(ちなみに、入玉というのは対局の最初から狙ってできるものではない。試合の流れで入玉しやすくなったので、途中から入玉に作戦を切り替えたのだ。ただ、入玉になりやすい戦型があって、今回の矢倉戦法はその中の一つでもあるので、いざとなったら入玉というのは塚田九段の最初からの狙いであったかもしれない)

ところが、ここでコンピュータ(Puella α)も入玉をしてきた。

お互いに入玉をして、どちらも王様を詰ますことができなくなると、どうなるか?

点数計算で、引き分けになるかどうかが決まる。

点数計算は、自分の盤上の駒と持ち駒を、玉様を0点、大駒(飛車・角)を5点、小駒(金・銀・桂馬・香車・歩)を1点として合計し、24点に満たないほうが負けになり、両者とも24点以上の場合は引き分けになる。

この引き分けは持将棋(じしょうぎ)と呼ばれる。

今回の対局では、お互いに入玉したときに、塚田九段の駒が圧倒的に足りなくて、15点くらいしかなかった。

ここからは、通常の将棋とはまったく別の戦い方になる。

王様を詰ましにいくのではなく、相手の駒を少しでも多く取り合うことに全力を尽くす。

一枚、また一枚と、少しずつPuella αの駒を取っていき(この辺の駒の取り合いは、コンピュータはうまく対応できていなかった)、230手にも及ぶ長い戦いの結果、ついに規定の24点分の駒を取ることに成功した。

ここで、引き分けが成立した。

最初塚田九段が入玉を狙ったときに、誰もが駒数が足りないプロの負けを意識していた。

そこから執念で、引き分けに持ち込んだのである。

前回の対局でコンピュータ(ツツカナ)が粘って逆転したように、今回はプロ側が意地を見せた。

感情を持っている人間だからからこそできた戦い方だったと思う。

また、入玉をした塚田九段の指し方に対して、卑怯だ、というコメントを書く人が少しいたが、入玉の待将棋は将棋連盟の規定にもともとあるルールであり、ルールを守ってその中で戦っているので卑怯でもなんでもない。

野球でスクイズをしたり、サッカーでオフサイドトラップをしたりした人に卑怯だ、と言っているようなもので、的外れな意見だと思う。

というよりも、今回のような対局こそが、将棋の本質なのだと思う。

将棋とは意地の意地のぶつかり合いであり、将棋が強い人の多くは負けず嫌いであり、負けるのが嫌だからこそ必死に研究して勉強して相手の弱点を突いて戦うのだ。

プロ棋士VSコンピュータの団体戦も、あとは最終局の大将戦だけになった。

今までの結果は、人間側の1勝2敗1分。

次にプロ棋士が勝てば、2勝2敗1分の、ドローになる。

A級棋士 VS 東大の788台のコンピュータ。

楽しみ過ぎる。

 

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