(この文章は2013年4月22日に書いたものです)
GPS将棋はシャレにならないぐらい強かった。
A級棋士(プロ棋士でも10人しかなることができない)の三浦弘行八段相手に、攻め続けてそのまま勝ってしまった。
ミスらしいミスもなかったのに三浦八段が負けてしまって、ショックだった。
電王戦の団体戦の成績は、プロ棋士側の1勝3敗1分で幕を閉じた。
もちろん、これで人間側の完璧な負け、というわけではない。
プロ棋士の方にはまだまだ強い人はたくさんいるし、コンピュータへの対策も進んでいくだろうし、来年もしまた大会が開催されれば、今回よりはプロ棋士側のプレッシャーも減るだろう。
ただコンピュータも年々強くなっているので、どうなるかが不安だ。
今はまだそこまで辿り着いていないが、いずれコンピュータが常に最善の手を指せるようになってしまったら、やはりつまらないと思う。
将棋は、あえて最善手を指さないほうが勝ちやすいときもある。
たとえば、自分が圧倒的に負けているときに、その中の最善手を指すのではなく、相手が間違えやすいように局面を複雑にする手を指したり、わざと一手パスするような手を指して相手に手を渡して考えさせたりといった駆け引きが大事になることもある。
将棋は、必死に考えても、お互いに間違えるから面白いのだ。
考えても考えても正解が分からないからこそ、考えていて興奮する。
江戸時代よりも前から多くの人が真剣に考えてきて、それでもまだ答が分からないぐらい将棋は深い。
だから、コンピュータに将棋の答を見つけてほしくない。
来年は、人間に勝ってほしい。
人間とコンピュータの戦いはまだ、始まったばかりだと思う。
今回の電王戦が開催されている間、僕は毎週ドキドキワクワクしていた。
自分がどれほど将棋が好きか、どれほど将棋に影響を受けてきたかを、再認識することができた。
日本人の多くが将棋に興味を持てば、この国はきっと変わるだろうな。
追記
この後もコンピューターはどんどん成長していき、2017年にはついに、佐藤天彦名人にも勝ってしまいました。将棋界はどうなってしまうんだという不安もありましたが、藤井聡太さんのおかげで一気に日本中が将棋ブームになりました。これからもコンピュータ将棋が人間の将棋に与える影響について、興味深く見ていきたいと思っています。
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