昨日(11月26日)行われていた王将戦のリーグ戦最終戦の結果により、渡辺明棋王(34歳)と糸谷哲郎八段(30歳)が4勝2敗で並んだため、二人のプレーオフで勝ったほうが、久保利明王将(43歳)への挑戦権を得ることになりました。
プレーオフ対局の日程は12月3日(月)です!!
ちなみに、広瀬章人八段(31歳)も4勝2敗だったんですが、「王将戦は順位が上の人二名のプレーオフ」という謎のルールがあるため、今回はプレーオフに参加することができませんでした。(名人戦とかは、そんなプレーオフのルールないんですけどタイトル戦ごとにそれぞれルールが違うので)
というわけで、二人がどんな棋士か解説していきます。
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渡辺明棋王について【史上4人目の中学生棋士】

タイトル獲得20期は、現役棋士の中で羽生善治竜王(99期)谷川浩二九段(27期)に次いで、第3位です。現在は棋王のタイトルを保持しています。
加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治竜王に続く、史上四人目の中学生棋士となりました。(その後、藤井聡太七段が、五人目の中学生棋士になります)
→将棋の棋士がプロ入りした年齢まとめ【最年少・年齢制限・プロ編入試験】はコチラ
弱冠20歳で竜王のタイトルを獲得し、それから防衛し続け9連覇します。
2008年に初代永世竜王をかけた羽生善治さんとの7番勝負は、3連敗のあと4連勝して竜王を防衛し、伝説となりました。(羽生さんはこの対局で負けたため、永世竜王を獲るまでにそれから9年かかることになりました)
歯に衣着せぬハッキリとした解説や発言にも定評があります。
将棋界の中でも、かなり論理的、戦略的な思考をしていて、ブログも人気です。
奥様が描いている漫画も面白いですね!
糸谷哲郎八段について【将棋界は斜陽産業・時間攻め】

タイトルは竜王1期、順位戦はA級所属のトップ棋士の一人ですね。
大阪大学大学院文学研究科の博士前期課程を修了し修士(文学)の学位を授与されているという異色の経歴の持ち主。(ハイデッガーを研究していたそうです)
糸谷哲郎さんの名言と言えば、デビューしたばかりのときに
『今の将棋界は斜陽産業。僕たちの代で立て直さなければと思っている』
って言ってて、かっこよかったですね。
実際、糸谷さんの世代の棋士(豊島將之二冠や佐藤天彦名人や稲葉明八段)が、今の将棋界を盛り上げていると思います。
早見え早指しで持ち時間を余らせて勝つことで有名で、特に、竜王を獲った森内さんとの対局で、森内さんは持ち時間がなくなり1分将棋(一手1分で指さないといけない)なのに、糸谷さんは3時間以上余っていた対局がありました。
「時間攻め」という、持ち時間が余ってるのにもかかわらず、わざと相手が指したらすぐ指して、相手に考えさせないテクニックがあるのですが、タイトル戦の大舞台で時間攻めをしている人は珍しいです。
というのも「時間攻め」は自分がミスをしてしまう確率も増えるため、考える時間が短くても自分はミスをしない、という「早見え」の自信と決断力がないとできないので。
また、一風変わった戦法を指すことが多く、糸谷さんがデビュー当時よく指していた『糸谷流右玉』という対振り飛車の戦法を、僕は今でも指していて勝率がいいです。
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渡辺明棋王と糸谷哲郎八段の対戦成績

現在渡辺さんの9勝4敗です。
二人は竜王戦のタイトル戦でも戦い、その時は4勝1敗で渡辺さんが竜王のタイトルを奪還しています。
勝敗に結構差がついているようにも見えますが、NHK杯で糸谷さんが渡辺さんに圧勝した対局などもあるように、どちらが勝ってもおかしくないと思います。
糸谷さんが奇抜な指し方を見せたときに、渡辺さんがうまく対応できるかが見どころになるでしょう。
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渡辺明棋王の糸谷狩りについて
渡辺さんが高校生で、もうプロ棋士になっていたときに、ネット将棋で中学生で奨励会員の糸谷さんと対局をしていたそうです。
ネット将棋は、対局の勝ち負けで点数のレートが上下していくんですね。
糸谷さんに勝って点数を奪い取るのを「糸谷狩り」と呼んでいて頻繁に行っていたそうなんですが、あるときから、糸谷さんが急激に強くなって、そんなに勝てなくなってしまったそうです。
こういうエピソードを包み隠さず話してくれるのも、渡辺さんの魅力の一つですよね。
プレーオフはどんな対局になるのか、今から楽しみですね!!
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