第31期竜王戦第六局が12月12日、13日の2日間で行われ、81手で挑戦者の広瀬章人八段が勝利しました。
この結果、3勝3敗で二人の勝敗が並び、決着は最終第7局(12月20日、21日)に決まることになります。
→広瀬章人八段が竜王奪取!羽生善治さんは27年ぶりの無冠に!31期竜王戦第七局結果速報
→羽生善治竜王VS広瀬章人八段【第31期竜王戦第七局・1日目・速報・2018】はコチラ
→藤井聡太七段VS門倉啓太五段・順位戦C級1組【結果・速報・順位戦の仕組み】はコチラ
目次
羽生竜王はタイトル通算百期か、27年ぶりの無冠になるかがかかっています

羽生竜王が勝てば、タイトル通算百期の偉業を達成することにいなり、また負けると、1991年以来27年ぶりに、どのタイトルも持っていない無冠になります。
どちらになっても、大事件です!!
またまた、漫画のような展開になってきましたね。
本局は羽生竜王が後手番で横歩取りを採用したことが話題となった
本局で羽生竜王は後手番で横歩取りという戦法を採用しました。
そしてこれが、とても意外なことだったのです。
横歩取りは数年前までは、主流の戦法で、タイトル戦でもよく指されていました。しかし、今ではあまり指されなくなり、角換わりの将棋が多くなっています。
横歩取り激減の理由(青野流の活躍)
本局でも現れた、横歩取り「青野流」と呼ばれる3四飛のまま5八玉と上がる形が強すぎて、先手番が攻める展開になりやすいんですね。

後手番で勝ちづらくなっていき横歩取りを避けるため、プロ間でも横歩取りを指す人が減ってきました。
本局も序盤は青野流の流れでしたが、羽生竜王が「相横歩取り」という戦型に変化していきました。

この飛車をぶつける手から飛車交換になり、激しい中盤戦に突入していきます。
この「相横歩取り」の戦法も、先手番のほうが有利と言われています。
横歩取り激減には、コンピュータ将棋の影響もある
コンピュータがいくつもの新しい定跡を作り出していて、今まで流行だった「矢倉戦法」も指されなくなってしまいました。
最新のコンピュータは横歩取りは、ほとんど指さないそうですね。
コンピュータの指し方を、プロ棋士の方が取り入れていくことが多いので、今後ますますプロ間でも横歩取りは減っていくでしょう。
羽生善治竜王は大事な舞台でこそ挑戦する

では、なぜそんな不利と言われている戦法を、羽生さんはこんな大事な対局で採用したのでしょうか。
それは、羽生さんがいつもやっていることなんですね。
大事なときこそ守りに入らず、チャレンジしていく。
今までもタイトル戦で、右玉や一手損角換わりなど、あまり指されていない戦法を採用することが多くありました。
一つの戦法に固執せずに、いろいろなことにチャレンジして成長していく。
周りが使わなくなったからといってそのまま諦めるのではなく、他に可能性はないのか?まだできることはないのか?と探求していく好奇心こそが、羽生竜王の強さの一つだと思います。
→羽生善治氏の名言「自分の得意な形にこだわらない」【将棋上達法】はコチラ
だからこそ、今まで通算タイトル99期もの実績を重ねてこられたのだと思います。
2018年タイトル戦の先手番・後手番勝率まとめ
タイトル戦 | 先手番 | 後手番 |
王将戦 | 1勝 | 5勝 |
棋王戦 | 5勝 | 0勝 |
叡王戦 | 2勝 | 2勝 |
名人戦 | 5勝 | 1勝 |
棋聖戦 | 4勝 | 1勝 |
王位戦 | 7勝 | 0勝 |
王座戦 | 3勝 | 2勝 |
竜王戦 | 4勝 | 2勝 |
8タイトル戦合計 | 31勝 | 13勝 |
勝率 | 0.705 | 0.295 |
先手の勝率が約7割、後手の勝率が約3割と、2018年のタイトル戦では先手後手で勝敗にかなり差がついてしまっています。
これはやはり、後手番の対策が、どの戦法も難しくなってきてしまっている傾向があると思います。
最終局の振り駒で、羽生善治竜王と広瀬章人八段のどちらが先手番を取れるかで、流れはだいぶ変わってくるでしょう。
果たして、運命の女神はどちらに微笑むのでしょうか!!
●関連記事
→将棋漫画のおすすめ作品を紹介します!【ジャンプ・羽生・奨励会・連載中・感動】はコチラ
→竜王戦について【将棋・日程・賞金・持ち時間・永世竜王】はコチラ
→藤井聡太七段VS増田康宏六段(順位戦対局の感想)二人の天才の対局で何が起こっていたのか!?はコチラ
→藤井聡太七段【史上最速百勝達成】の伝説の一手~必至を解除する男~はコチラ
→プロ棋士通算対局数ランキングまとめ(羽生善治竜王が通算2000局達成!)はコチラ
コメントを残す