『ツチヤの貧格』土屋賢二




哲学のある人が必ずしも面白い文章を書けるわけではないが、面白い文章を書ける人には必ず哲学がある、という名言を、哲学界では知らない人はいないと言われている、鈴木さんと斉藤さんと田中さんが口を揃えて言っていたのを、高橋さんが見ていたらしい。

笑いと哲学は、人と違ったことを考えられるかどうかが重要になってくる、という意味において、とても近いところにあるのだと思う。

「合コンで出会った」というのと「友人の紹介で出会った」というのと同じくらい近いものなのかもしれない、と言っても過言ではないだろう。

よって、哲学を専攻している大学教授の土屋賢二氏が面白いエッセイを書いたとしても、それは不思議なことではなく、むしろ自然なことである。

合コンでかわいい女の子が一人も来ないことや、合コンで三人ともかわいくない女の子が来ることぐらい自然なことである、と言っても差し支えないほどである。

歴史に残る(一年くらいは)という呼び声も高い(声の高い人が言っているだけの可能性あり)名著『ツチヤの貧格』から、著者の貧格のある文章を引用してみよう。

 

『わたしの文章を読んでも、心血を注いで書いた文章だと分かる人はほとんどいない。これは、心血を注いだように見せない技術がわたしにあるからかもしれないが、もっと大きい理由は、心血を注いでいないからであろう。』

 

このようなノリで、このエッセイはずっと書かれている。

読んだ人は、感動するか、呆れるか、そのどちらでもないか、のいずれかの感想を抱くことを私は確信している。

 

 

土屋賢二とは何者か

東京大学助手を経て、1975年からお茶の水女子大学教育学部講師。1979年に同助教授に、1989年に同教授に昇格。2002年から2年間、お茶の水女子大学文教育学部学部長を務めた。2010年定年退職、名誉教授。定年退職後は神戸市に移住した。研究の傍らユーモアエッセイを執筆。一見哲学的な深い洞察をしているように見えながら実は論理的に奇妙な文章になっているという、学術論文をパロディ化したような独特の作風。そこからついたあだ名が「笑う哲学者」。

(Wikipediaより引用)




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