小説とは何か、と、たまに考える。
小説と、そうではない文章との違いとは何か。
例えば、ピザ屋のチラシはどうだろう。
そこには、「一枚買ったらもう一枚無料!」というキャンペーンが書かれていたり、新商品のお勧めのピザが書かれていたりする。
これは、小説だろうか?
親から手紙が届く。
「最近元気にしてますか」などと日常のたわいもないことが書かれている。
これは、小説だろうか?
プロ棋士の将棋の棋譜を見る。
先手76歩、後手34歩、どのような展開になっていったのかを盤面で再現していく。
これは、小説だろうか?
『エウロペアナ』パトリク・オウジェドニーク著、という本を、僕は遅かれ早かれ読むことになっていただろう。
本屋で見かけるたびに、この不思議な表紙が、僕を惹きつけていた。
『エウロペアナ』は小説ということになっているが、どちらかというと辞書や百科事典や歴史書に近い。20世紀ヨーロッパの歴史が、淡々とした文章で描かれていく。
歴史的な事実を書き連ねることは、小説になる、ということをこの本は証明した。
この事実により、
「ピザ屋のチラシは、事実が書いてあるだけだから小説ではない」
という反論は、潰される。
僕の友人で
「小説を読むのは時間の無駄だから読まない」
と公言している人がいる。
しかし、彼はもしかしたら、
自分が読んでいないつもりでも、
日々小説を読んでいるのかもしれない。
小説は、あらゆる場所にある。
~Amazon内容紹介より引用~
現代チェコ文学を牽引する作家が、巧みなシャッフルとコラージュによって「ヨーロッパの20世紀」を大胆に記述。国内外で反響を呼び、近年出たチェコ文学としては最も多い20以上の言語に翻訳された斬新な歴史‐小説。
66の段落から構成される本書は、タイトルからすると歴史の教科書のように見えるかもしれない。だが冒頭からその印象は裏切られ、直線的な記述ではなく、時代がシャッフルされていることに気づく。あらすじもなければ明確なプロットもなく、記録、実話、逸話、噂話、スローガン、学説などさまざまなレベルの情報がミックスされ、コラージュされるうちに、「宗教」「フェミニズム」「工業化」といった20世紀を象徴するテーマや事件が、「マスタード」「インターネット」といった日常のささやかなトピックと思わぬ形で結びつく。
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