この本の作者である福田和也氏は、本当にたくさんの本を読んでいて、たくさんの文章を書いています。
一番驚いたのが福田氏の『作家の値打ち』という作品で、小説574作品を全て読み、書評を書いていたことです。
その『作家の値打ち』はたった9ヶ月で書かれたらしく、その間は平均一日2・5冊のペースで小説を読んでいたそうです。
しかも、その9ヶ月間はただ本を読んでいただけではなく、原稿を書いたり、大学で授業を教えたり(福田氏は慶應大学の教授もやっています)、しょっちゅう飲みに行ったりと、精力的に活動しながら、それだけの本を読んでいたわけです。
どうやったら、そんなにたくさん本を読んだり文章を書いたりできるんだろう?とずっと疑問に思っていました。
『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』(福田和也著)では「どう読むか」と「どう書くか」について、丁寧に解説してあります。
目次
本を読むときに大切なのは目的意識を持つこと
本を読むときに大切なのは、
「いったい何のためにこの本を読むのか、という目的意識をはっきりともつこと」
だそうです。
速読をマスターして読む時間がいくら短縮できても、役に立たない本を読んでいたのではなんにもならない。
つまり、読む本の選び方が、読書の効率ということを考える上では、とても重要だそうです。
その本が「役に立つ」かどうかは、あくまでも自分にとってです。
歴史に残る名著だろうが、ベストセラーになっている本だろうが、自分の目的にあっていない本は、読んでも仕方がないそうです。
僕は結構手当たりしだい、適当に本を選んで読んでいたのですが、なるべくどの本を読むかを、慎重に吟味していこうと思います。
面白い本を探すコツは、好きな書評家を見つけるのが効率が良い
また、面白い本を探すコツについても書いてあります。
『優れた本を探すためには、好きな作家を見つけるよりも、好きな書評家を見つけたほうが効率がいい』
という、文章には感銘を受けました。これは、本以外でも、たとえば音楽の場合もそうです。
アメリカのロックに詳しくなりたかったら、好きなミュージシャンを見つけるようとするのは効率が悪いそうです。
それよりも、好きな音楽評論家を見つければ、何人もの優れたミュージシャンを知ることができます。
このように、なるべく時間を短縮して、効率よく情報を収集する方法が、この本では紹介されています。
文章が上手くなるには、好きな作家の小説&エッセイの文体や構造を分析して真似るのが近道
また、「どう書くか」についてでは、自分が上手い、あるいは好きだと思う文章の構造を、徹底して分解して、それを分析するのが近道だそうです。
このように福田氏が授業で学生に言うと、「好きな作家の真似がしたいわけではないのだ」という答えが必ずくるそうです。
しかし、分析することと、真似ることはまったく違う、と福田氏は述べます。
『自分がその文章に感じている魅力は何なのか、何が自分にとっての文章のよさなのか、を知ること。これは書いていく上でとても大事なことです』
執筆マニュアル本や読書法のマニュアル本はかなり読みましたが、この本はトップクラスだと思います。
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