村上春樹氏のアイデアの浮かび方【ET方式の小説の書き方】




小説を書こうとするときに最初に最大の関門にぶち当たることになるのですが、「結局、何を書けばいいの? 書くことが別にないんだけど」ということなんですよね。

小説は書きたいし何かを表現したい。それでも、「特に書きたいテーマも題材もない」という人は結構多いと思うんです。

壮絶な人生経験を歩んでいたりする人は書く題材があると思うんですが、普通の時代に生まれてきて普通の人生を送ってきた普通の自分が、いったい何を書けるんだと。すでに膨大な先行作品があるなかで、自分が新たに書くべきことがあるのだろうか、と。

しかしその悩みは、今活躍しているプロの作家の方でも、同じように考えていることなんですね。

そんなときどうすればいいか。村上春樹さんの方法を学んでみましょう。

『また映画の話になりますが、スティーブン・スピルバーグの作った『E.T.』の中で、E.T.が物置のがらくたをひっかき集めて、それで即席の通信装置を作ってしまうシーンがあります。覚えていますか? 雨傘だとか電気スタンドだとか食器だとかレコード・プレーヤーだとか、ずっと昔見たきりなので詳しいことは忘れたけど、ありあわせの家庭用品を適当に組み合わせて、ささっとこしらえてしまう。即席とはいっても、何千光年も離れた母星と連絡をとれる本格的な通信機です。映画館であのシーンを見ていて僕は感心してしまったんですが、優れた小説というのはきっとああいう風にしてできるんでしょうね。材料そのものの質はそれほど大事ではない

『何かを書きたいという表現意欲はなくはないのですが、これを書きたいという実のある材料がないのです。そんなわけで、僕は二十九歳を迎えるまで、自分が小説を書くことになるなんて考えもしませんでした。書くべきマテリアルもなければ、マテリアルのないところから何かを立ち上げていけるほどの才能もありません』

『僕は思うんですが、こういう状況って、今の若い世代の人たちにとってもだいたい同じようなものなんじゃないでしょうか。というか、僕らが若かったときよりも更に「書くべきこと」が少なくなっているかもしれません。じゃあ、そういうときどうすればいいのか?』

『これはもう「E.T.方式」でいくしかないと、僕は思うんです。裏の物置を開けて、そこにとりあえずあるものを—もうひとつぱっとしないがらくた同然のものしか見当たらないにせよ—とにかくひっかき集めて、あとはがんばって、ぽんとマジックを働かせるしかありません

~『職業としての小説家』村上春樹著より引用~

特別な経験がなくても、自分が今までしてきたこと、感じてきたこと、出会ってきた人、読んできた本や観てきた映画、そういうひとつひとつのエピソードは、たわいもないものかもしれませんが、それを組み合わせていく。

組み合わせるときに、文体を工夫したり、キャラに凝ってみたり、構成に意外性を持たせたり、最後にどんでん返しを用意したりと、自分なりのマジックを働かせれば、くだらないマテリアルが輝きだしてくるんだと、村上春樹さんはそういうことを言ってるんですね。

小説に何を書いたらいいかわからない人は、まずは自分の中にあるアイデアや体験のガラクタをかき集めて、組み合わせてみるのがいいと思います。




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