『テニスボーイの憂鬱』村上龍




村上龍が好きな人と、どの作品が好きかの話しをすると大抵盛り上がる。
東に『映画小説集』が好きだと主張する人がいれば、「分かる分かる、いいとこつくねー」とうなずき、西に『長崎オランダ村』が最高!と言う人がいれば、「いやー、意外なとこいきますねー」と興奮し、南に『5分後の世界』と叫ぶ人がいれば、行って「うんうん」と言いながら頭をさすってやり、北に『1Q84』とつぶやく人がいれば、それは違う作家だよと諭してやり、雨にも負けず夏の暑さにも負けず、そういう限りなく無職に近い人間に、私はなりたい。

村上龍の作品群は大きく分けると「シリアス系」と「ユーモア系」の二種類に分かれる気がするのですが、シリアス系の代表作が『コインロッカーベイビーズ』とか『限りなく透明に近いブルー』とか『愛と幻想のファシズム』とかですかね。ユーモア系の代表作が『69 sixty nine』とか『昭和歌謡大全集』とか『走れ!タカハシ』とかでして、どちらも面白いんですけど、僕が何回も読み返すのはユーモア系のほうなんですよね。

そして僕が一番好きな村上龍のユーモア系の作品は『テニスボーイの憂鬱』である!
金持ちの息子だが今まで冴えない生活を送ってきた主人公(テニスボーイ)が、テニスやら女性関係やらいろいろ放蕩生活をしようとして失敗してそれでも頑張って、みたいなノリノリの話です。
それでは引用してみます。

『頼むからストッキングをはいていてくれと願った。シングルスだ、あの女はインテリアを応援するだろう。パンストをはかなくてあんなに足がスベスベの女が応援する奴とシングルスなんかやりたくない、俺が負けると、あのスベスベの太腿がうれしそうにピョンピョン跳ねるのだろう、それは、悲惨だ。テニスボーイは緊張のため小便がしたくなった。小便がしたくなるほど緊張している自分がみじめだったが、小便に行く時に、スベスベの正体を見れると気付いた。もしパンストだったら、ちょっと注意してやろう、それもさりげなく、しゃれた言葉で。
「ねえ、コートの上でパンストはよくないぜ、君の健康のためにも、僕の健康のためにもね」
よし、なかなかいかした台詞だ』

不倫という重いテーマを扱いながらも、勢いがあってテンポがいいんですよね。

この作品にはたくさんの名言が出てきますが、そのなかでも特に印象的だったのが「人生はシャンパンだ」というメッセージ。キラキラと輝くか、輝かないか、人生にはその二つしかないということを、僕は教わりました。

 






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