挑発的なタイトルです。
ただ、新書に関しては森氏は自分でタイトルを決めずに編集者が考えることが多いらしいので、今回のタイトルも編集者が決めたのかもしれません。
「俺は夢を叶えた」と自信を持って言える人は、世の中にどれぐらいいるのでしょうか。
『夢をかなえるゾウ』(水野敬也著)という名作をはじめとして、夢に関するハウツー本はたくさん出版されていますが、実際に夢を叶えた人はそれほど多くはないでしょう。
それぐらい夢を叶えることは難しく、多くの人が今の生活に不満を抱きながら生活してるのが現状です。
森博嗣氏は、夢を叶えたと自信を持って言ってもいいぐらい、自由で楽しそうな生活を送っています。家の大きな庭に自作の鉄道を走らせ、仕事は1日1時間以内におさえて、あとの時間は自由に遊んでいます。
どうすれば、こんな夢のような生活を送ることができるようになるのでしょうか。
赤裸々に身もふたもないことを書くことでおなじみの著者が、夢についてズバズバと切り込んでいくのは爽快です。
この本では、読者がアンケートで書いた夢に著者が突っ込むコーナーがあって、なかなか笑えて考えさせられました。
「世界一周旅行がしたい」
これもよくある夢の一つだろう。そのために「貯金をしている」という人も多い。よろしいんじゃないでしょうか。ただ、やや安直にも響く。僕の印象として、想像力がなく、自分の楽しみを持っていない人ほど、夢として「旅行」を選びがちかな、と観察されるのだが、気のせいだろうか。日本一周に比べて、そんな雑さが目立つ。「外国ををもっと身につけて、世界の人々をよりよく理解したい」
言語の問題ではないように思う。まずは、翻訳されたものを沢山読む。その方が理解が進むのでは?「毎日、笑って生活したい」
あまり笑いづめだと、周りから気持ち悪がられると思う。
そして、夢のほとんどが、実は他者からの評価を期待していりものなのではないか、と著者は指摘します。
そもそも、小説家になりたいという夢の大部分は、「小説を書きたい」でもなく、「小説家を仕事にしたい」でもなく、「小説家としてみんなから注目されたい」であることが多い。実に多い。ほとんどそれではないかと思うほどだ。
同様に、「ハワイへ行きたい」という夢も、実のところは、ビーチで自分の写真を撮って、それをネットでアップしたい、という願望が先頭に立っている。「見たい夢」ではなく、「見せたい夢」でしかない。
この指摘は耳が痛いというか、確かに他者からの評価を期待している、という自分を認識しておくことは大事だと思います。それを踏まえたうえで、他者の視線がまったく関係ない場合、本当に自分のしたい夢は何なのかを考えることも重要でしょう。
そして、夢の叶え方を、著者はこのように答えています。
今日、あなたは夢のために、何をしたか? 明日は何をするのか?
いつもそれを自分に問うことが、少なくとも僕が言える一番の「夢実現の方法論」である。
毎日さぼらずに少しずつ自分のペースで、夢に向かって進んでいく。
それがきっと、最善の方法なのかもしれません。
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