小説を書くときに気になる「文体」についてまとめてみました!
目次
文体とは何か【口語体とは・エッセイにも文体はある】
見ただけで誰が書いたか分かるような個性的な文体もあれば、新聞記者が書くような無個性な文体もあります。
エッセイでも「です・ます調」で書く人や「である調」で書く人などそれぞれの文体がありますね!
ちょっと助さん格さん聞いてくださいよ。この前散歩に行ったらね、でっかい犬がやってきたのさ。そいつが追いかけて来やがってわたしゃあ走って逃げたのさ。足ではなく、腕の振りを意識する。これが速く走るコツなんですわなあ。そいでもって……。
一人称の語り口調の文体例『日の名残り』カズオ・イシグロ
『じつは告白せればなりませんが、私はこの数カ月間に、仕事の上で小さな過ちをいくつか重ねていました。
取るに足りない些細な過ちとはいえ、これまでおよそ過ちというものに無縁であった私には、過つこと自体が心穏やかならざることでございまして、その原因についてあれこれと悲観的な考えを抱きはじめたのも、無理からぬこととご理解いただけましょう』
『日の名残り』カズオ・イシグロ著より引用
高貴で頑固な執事が主人公の『日の名残り』は、特徴的な語り口調で全編が描かれます。
好きな作家の文体を分解して真似をする
文体を学んでいくには、自分が好きな作家の文体の特徴を分解するところから始めるのがオススメです。
どのタイミングで句読点をうつか。
一文の長さは。
一人称は「僕、ぼく、俺、オレ、わたし、私」どれを使ってるか。
などなど、好きな作家の文体を分解していきます。
「好きな作家の真似をしたいわけじゃないんだ」
という方には、文芸評論家の福田和也氏の言葉を贈ります。
『自分がその文章に感じている魅力は何なのか、何が自分にとっての文章のよさなのか、を知ること。これは書いていく上でとても大事なことです』
『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』福田和也著より引用
『文体練習』レーモン・クノーもおすすめ【文体論・文体研究】
バスに乗っていた男がバスから降りて…という些細な出来事を、99通りの別々の文体で書き換えるという訳の分からない試みをしたのが、『文体練習』(レーモン・クノー著)です。
フランスの頭の良い文学者が徹底的にくだらないことを書いていることに感銘を受け、笑えます。
文体に特徴のある作家まとめ
サリンジャー
カズオ・イシグロ
ジム・トンプスン
シオドア・スタージョン
町田康
舞城王太郎
例えば、今度書く小説は「カズオ・イシグロ」さんの「日の名残り」みたいな、格調高い敬語みたいな文体で書こう、と決めて練習してみるのもありですね!
小説を書くときに文体なんて気にしなくていい、という意見もあります・貴志祐介さん・森博嗣さん
エンターテイメント系の作家で言えば、貴志祐介さんや森博嗣さんは
「文体なんて気にしてなくていい」
という意見のようですね。
純文学小説は「文体」を重視していて、エンターテイメント小説は「キャラクター」を重視している
エンターテイメント小説の場合は文体が普通でも「キャラクター」の魅力で引っ張って行けると思います。
小説の中で文体をそろえるのが基本ですが、途中で文体が変わる小説もあります
『鳩の撃退法』(佐藤正午著)は、文体どころか人称も変わってしまう(三人称→一人称)小説で、小説の書き方は自由だという感覚をつかむためにもおすすめです!