小説をなんとか書き終えた、と思っても、実はまだそこで終わりではありません。
書き終えたばかりの原稿は誤字脱字があったり、登場人物の名前が途中で変わっていたりと、書き直したほうがいいことがたくさんあります。
さらに、もしかしたらアイデアを足せば、今の状態よりもっと面白くなるかもしれません。
そこで大事になってくるのが「推敲」です。
村上春樹さんの推敲の仕方を『職業としての小説家』(村上春樹著)から引用して紹介していきます。
目次
小説を書き終えたあとに「推敲」という別のゲームが始まる【1回目は構成など大きく】
しかし長編小説の執筆は野球と違って、いったん書き終えたところから、また別の勝負(ゲーム)が始まります。僕に言わせてもらえば、ここからがまさにかけがいのある、おいしい部分になります。
第一稿を終えると、少し間を置いて一服してから(そのときによりますが、だいたい一週間くらい休みます)、第一回目の書き直しに入ります。ここではかなり大きく、全体に手を入れます。
大きな書き直しでは、作品が二つに分かれてしまったこともあるそうですね。
『ねじまき鳥クロニクル』を書いていたときに、ある部分を使わずに膨らませて『国境の南、太陽の西』ができ上がったそうです。
一回目の書きお直しが終わったら、二回目の書き直しへ【描写・小説の書き方・小説を書く】
その書き直しに、たぶん一カ月か二ヶ月はかかります。それが終わると、また一週間ほどおいて、二回目の書き直しに入ります。これも頭からどんどん書き直していく。ただし今度はもっと細かいところに目をやって、丁寧に書き直していきます。
たとえば風景描写を細かく書き込んだり、会話の調子を整えたりします。
筋の展開にそぐわない点がないかどうかチェックし、一読してわかりにくい部分をわかりやすくし、話の流れをより円滑で自然なものにします。
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さらに奥様にも読んでもらって修正する【小説の推敲は大変・恥ずかしいが第三者にも読んでもらう】
しっかり養生を済ませたし、そのあとある程度の書き直しもした。この段階で大きな意味を持つのが、第三者の意見です。僕の場合ある程度作品としてのかたちがついたところで、まず奥さんに原稿を読ませます。
(省略)
でもそのような「第三者導入」プロセスにおいて、僕にはひとつ個人的ルールがあります。
それは「けちをつけられた部分はがあれば、何はともあれ書き直そうぜ」ということです。
批判に納得がいかなくても、とにかく指摘を受けた部分があれば、そこを頭から書き直します。
作品を完成させるまでの第三者の批判は真摯に受け止めても、作品を出版したあとの批判は受け流したほうがいいとのことでした。
→村上春樹の短編の書き方【一筆書き・三日・実験・怪しい文章・楽しい】はコチラ
結局何回小説を書き直せばいいのか【セオリー】
何度くらい書き直すのか? そう言われても正確な回数まではわかりません。
原稿の段階でも数え切れないくらい書き直しますし、出版社に渡してゲラになってからも、相手がうんざりするくらい何度もゲラを出してもらいます。
ゲラを真っ黒にして送り返し、新しく送られてきたゲラをまた真っ黒にするという繰り返しです。前にも言ったように、これは根気のいる作業ですが、僕にとってはさして苦痛ではありません。
同じ文章を何度も読み返して響きを確かめたり、言葉の順番を入れ替えたり、些細な表現を変更したり、そういう「とんかち仕事」が僕は根っから好きなのです。
村上春樹氏の推敲の感想。推敲の時はプリントアウトする
たしか他の著書で書いていたと思うのですが、村上春樹さんは推敲のときは、パソコンの画面でやるのではなく、毎回紙に作品を印刷して、それを修正していくみたいですね。
修正はパソコンの画面でやるよりは、印刷したものでやるほうが、全体像が掴みやすかったりミスを発見しやすくなったりするんですよね。
ちなみに僕も村上春樹さんと一緒で、パソコンの画面で小説を書きあげたあとはそれをプリントアウトして、紙に赤ペンで修正を書いて、それをまたパソコンの画面で直して、またプリントアウトして、また紙に赤ペンで書いて、と繰り返します。
長編の時は大体6回くらいは推敲を繰り返して、第7稿ぐらいで完成しますね。
推敲は毎回、「これいつ終わるんだ?」と思いながらやってます。
僕は小説を書くときに推敲が一番大変なのですが、村上さんは推敲を楽しんでいるのをヒシヒシと感じます。
推敲を面倒でつまらないものと考えると大変なので(小説を書く時間の大半は、自分の書いた作品を直す時間になるので)、推敲を楽しむ姿勢を見習っていきたいですね。
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