常識とは何か?




(この文章は2011年10月11日に書いたものです)

常識とはいったい何なのだろうか?

今日はそんな中学生が一度は考えそうなありがちな疑問について、思いを巡らせてしまった秋の一日だった。

夜ご飯に何を食べようかと思いながら歩いていたら、安い弁当屋があった。
その店は路上にカウンターがあり、カウンターを挟んでおばちゃんから弁当を買うシステムの店だった。

「おう、兄ちゃん、何にするのさ」

そこのおばちゃんは気さくに話しかけてくるタイプの元気な人だった。
僕は250円のカツ丼を買った。スープもついてこの値段はすごい。

そして、カウンターでお金を払おうとしたときだった。
道を歩いていた若い男が僕の隣に来て、

「これ両替してもらえませんか?」

と、いきなり5000円札をおばちゃんの前に出してきたのだ。

するとおばちゃんは、

「うちは両替やってないんだよ、何か買いなよ」

と言った。

その店にはチキンとかベットボトルのジュースとか100円の商品もたくさんある。

だがその男は何も買いたくなかったようで、

「じゃあいいです」

と言って去ってしまった。

そのあとおばちゃんは僕に

「両替だけ頼むなんて常識がないと思わないかい?そういう奴にはちゃんと常識を教えてあげるんだよ、私は」

と言ってきた。

なんというか、おばちゃんの対応は痛快だった。
常識という言葉を僕は基本的に嫌いだが、弁当屋で5000円札の両替をいきなり頼むようなことを、やはり許してはいけないのだ。

この弁当屋には頻繁に通うことになりそうだな、と思いながら僕は部屋に帰った。

そして、カツ丼とスープが入ったビニール袋を開けたときに事件が起こった。

割り箸が入っていないのである。

「え!?」

と僕は声を上げた。

現在僕は沖縄のウィークリーマンションで一人暮らしをしている。

その部屋には結構大きな画面の液晶テレビもベッドもソファもキッチンも備えられていたが、食器類がまったくなかった。

ご飯は弁当か外食ですませているので、箸もスプーンも僕の部屋にはないのである。

「これ、どうやって食べよう…」

というか、

「弁当屋が弁当に割り箸つけないって、しかも明らかに家に箸もまともに持ってなさそうな男に割り箸つけないって、それ常識的に考えてどうなんですか?」

とおばちゃんに突っ込みたくなった。

カツ丼とスープを見つめながら僕は呆然とした。
スープは箸がなくても飲めるけど、カツ丼は飲めない…。
その弁当屋は僕の部屋から歩いて10分以上。

最寄のコンビニまで行って、割り箸だけもらうなんてことをしたら、今日の両替の男の二の舞になる。いや、厳密に言うと全然状況は違うのだが、なんかイヤだ。

というか、近くのコンビニに行くのも5分くらいかかるので面倒だし、しかもその間にカツ丼は確実に冷める…。

食うしかない!!

ここまでを約0.2秒で思考したあと、どうやって食べるかを考えた。
ボールペンとかシャープペンはたくさんある。
これを箸に見立てて食うか?
でも、それもなんか汚いし…。

素手か…素手なのか?素手でほおばるのか?
冷めてきているとはいえ、まだ少し湯気をたてているカツ丼を素手で食べる勇気は僕にはなかった。
しかもカツ丼は玉子とかタマネギとかでグチャグチャしている食べ物であって、余計に素手では食べづらい。

もうだめだ…。
常識的に考えて、今日カツ丼を食べるのは無理なんか、スリランカ…。
俺はこうしてカツ丼が冷めるのをただ見ているだけの男だ、とうなだれていたときだった。

僕は発見したのだ!!

割り箸の袋を!
それは昨日食べた弁当の割り箸の袋だった。
そのゴミがまだ捨てずにあったのだ。

割り箸はもう捨てられているが(うちのマンションはなぜかゴミを毎日出すシステムなので)、袋だけ奇跡的に残っていた。

そして、割り箸の袋の中には、つまようじが1本入っていたのだ!!

いける、いけるかもしれない…。

僕はカツ丼の入った容器を傾け、つまようじを使って、カツを流し込んだ!
あまりの急な負荷に耐えられずに、いきなりつまようじが折れて、長さが80パーセントになった。

だが、そこからだんだんコツが分かってきて、傾けてつまようじで押す、を繰り返し、意外と普通に食べることができた。

ただ、つまようじ食べには欠点もあって、基本的に流し込むことしかできないので、カツと卵とタマネギとご飯をバランスよく食べる、なんてことは無理。

上から順番にカツ、卵、タマネギ、ご飯、で食べていく。
途中からおかずがまったくなくなり、ご飯だけをひたすら食べることになったが、それでも僕はなんとか完食したのだった。

つまようじ1本でカツ丼が食べられるなんて…。

また一つ、僕の常識が覆された。

そして、その折れたつまようじを愛おしく見つめながら、

「こいつと結婚したい。こいつを妻(つま)にしたい」

と思ったのだった。

 

 

林修氏の名言「人を嫉妬するより…」【嫉妬しない方法】はコチラ

「しりとり開始」と「変なお釣り」と「オリジナルことわざ」の3本立て

エイトの日はコチラ

スターバックスでなめられない方法はコチラ

デパルマ三世の名言『褒められたことだけ覚えていればいい』【日常編】はコチラ

『常連になる技術』第1回~常連の店を作れば楽しい~はコチラ

街で流れている音楽の曲名が分かるiPhoneアプリ【Shazam】






コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です