まず、ファナモとは何か。
ファナモは、「ウンコに代わる次世代排泄物」のことなんですね。排泄物がウンコから、匂いもなくつるっとしていてカジュアルでキレイなものに進化した未来が描かれます。
SFの作家がいろんなものを進化させて、未来の小説を書いてきましたが、さすがに排泄物を進化させた話は聞いたことがないですね。凄い想像力だと思います。
目次
ファナモが実現した現実社会が描かれる
21世紀になり技術が進化して、インターネットだスマートフォンだ人工知能だと、テクノロジーが加速度的に進化してきて、トイレもウォシュレットだ自動的に便座が上がるだとかいろいろ進化しましたが、いまだに人類が毎日真顔で汚い「ウンコ」をしているというのも、よく考えればアホらしいですもんね。ええ、そりゃ未来人はファナモでしょ、とついつい納得してしまします。
しかし、まだ移行期ということもあり、すでにファナモに切り替えた人もいれば、まだファナモに切り替えていない(自分が変わってしまうのが怖い)という人もいます。
ファナモイト(ファナモに切り替えた人)による、非ファナモイトへの迫害も始まってきます。
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SFの王道のストーリーとファナモの違い
未来ではDNAを鑑定して、誰でも自分の寿命が正確に分かるようになるとします。自分がいつ亡くなるのかが分かってしまうんです。
その寿命が分かったうえで、履歴書にも寿命を書かないと、企業に就職できないようになってくんですね。そこで寿命が短い人間への差別も生まれてきます。
ただ、DNAで寿命を知るシステムに反対派の人たちがいたりして(宗教に反するとかの理由で)、国会前でデモを起こしていたりする。
DNA認知派、認知しない派に分かれて、国民が争っている。それで彼氏と彼女がそれぞれ違う派閥に属していて、揉めるみたいなストーリーは、SFの作品で頻繁にあって、王道なんです。
もちろん、こういうストーリーはシリアスに描かれます。
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世にも奇妙な物語『ファナモ』のどこが面白いのか【出演者・キャスト(戸田恵梨香と平山浩行)・原作・あらすじ】
『ファナモ』はこの設定を逆手に取ってというか、パロデイにしてずらして、ギャグにしているんです。
彼氏(平山浩行)と彼女(戸田恵梨香)は、ずっと真顔で真剣に話しているんですけど、話している内容はDNAではなく「ファナモ」ですからね。だから、真面目にやればやるほど笑える、という構図になっていくんです。
ずらしの手法は、「SF小説のパロディ」以外にも使われています。
例えば手術のシーンも、ずらしやパロディの手法ですよね。
銀座のオシャレな病院での「この病院をどうやって検索されたんですか」とか「私も最初は不安でした」というやりとりは、たとえば今だったら整形の手術とか、レーシックの手術とか、脱毛の手術のシーンのパロディで、観ている人にとって既視感があるわけです。
既にあるベタなストーリーや場面展開を、一か所だけ別の新しいものにずらすことで、まったく違う話になっていく面白さが『ファナモ』にはあります。
原作の短編は、作家:前田司郎氏の『恋愛の解体と北区の滅亡』に収録されているそうなので、読んでみたいと思いました。
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