『文体は模倣から始まる』森村誠一氏による文体論【小説・作家】




森村誠一氏が自分の文体を手に入れた方法



『文体は一朝にしてなるものではない。長い間、多数の文章を書いている間におのずから形成される。私の作品にも文体があるとすれば、それは模倣から始まった。

日本の作家では、まず堀辰雄、立原道造や尾崎喜八の詩、石川啄木の短歌、井上靖や松本清張の文章、海外では豊島与志雄訳のロマン・ローラン、高橋健二訳のヘルマン・ヘッセなどである。これら複数の作者による文章を模倣し、構成し、粘土細工のようにこねくり回している間に、自分の文体なるものが徐々につくられてきた。

模倣することなく、最初から自分の文体ができ上がっている人というのは珍しい』

~『小説道場』森村誠一著より引用~

文体は僕もいろんな作家を真似して書いています。作品ごとに、今回はサリンジャーっぽい饒舌な文体でいこうとか、奥田英朗みたいなシンプルな三人称で書こうとか、真似しながらいろいろ試しています。

例えば、女性キャラ(清美)の語り口調の文体でブログを書いてみたこともあります。

野生時代フロンティア文学賞に投稿したよ~ん(^_-)-☆はコチラ

 

「物まねがしたいわけじゃないんだ」と思う方には、文芸評論家の福田和也氏の真似に関する意見が参考になると思います。

『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』福田和也はコチラ

 

自分の好きな文体を真似することで、なぜその文体が良いのか、どこに魅力を感じているのか、などが、分ってきます。そして、1人だけではなく何人かの作家の文体を順番に真似していけば、だんだんそれが自分の血肉となっていき、自分特有の文体ができあがっていくんですね。

僕にとって小説を読んでいて苦手な文体があって、新聞記者が書くような淡々としている文章です。

こういう文章は自分でも書きませんし(書けませんし)、読んでいても疲れてしまうんです。

基本的に、テンポが良く、軽い文体が好きですね。

 


誤字、誤用さえも、その人の文体となる

『文体とは、作者の文章の癖である。悪い癖や、誤字、誤用も文体となる。添削した方がより的確な、わかりやすい文章となっても、その作者独自の文体は消えてしまう

~『小説道場』森村誠一著より引用~』

文体は、日本語として間違っていても美しくなくてもいいのだと思います。

小説を職場の人に読んでもらったときに、日本語の間違いを真っ赤に添削されました。年間で本を1冊しか読まないような方たちに、「形容詞をいれる語順」とか直されてましたからね…。

明らかな誤字は直しましたが、意図的に言葉を崩しているところなどは、修正しませんでした。僕は文体に関しては、正しさよりも、テンポとか感覚を重視しているのです。

自分にとって気持ちの良い文体であれば、たとえそれが正しい日本語でなくても、きっと誰かに届くのではないでしょうか。

 

筒井康隆氏も自分の文体を見つけるまでに時間がかかっている

筒井康隆氏は、確かヘミングウェイの一人称を真似して、自分の文体を作り上げていったと、どこかに書いてあった気がします。

『僕の場合は、自分の文体を見つけるのが遅いほうだったんですね。二十四、五歳でから書き始めて、三十歳ぐらいになってやっと格好がついてきたんだけれども、すぐに、それではダメだということに気がついた。初期のころは、「おれ」という人物の一人称であったりするものを、自分の文体だと思い込んで書いたものが非常に多かったんですが、でも、それだけでは物足りないということにはそのころから気づいていて、『トーチカ』というのは、困ったすえにああいうかたちでやってみたんです。あのころ、いくつかの作品を違った文体で書いています』

~『筒井康隆スピーキング』より引用~

プロの作家も何年も試行錯誤しながら自分の文体を見つけていっているので、自分の好きな文体をいろいろ真似して、焦らずに楽しみながら学んでいくのがいいと思いました。



 

●おすすめ関連記事

小説を書くときに役に立つ道具まとめ【執筆環境・パソコンソフト・ノート】はコチラ

ポメラDM200は小説・ブログを書くのにおすすめ!【レビュー・DM100、DM30との比較・価格】はコチラ

小説の面白さとは何か?『文体練習』レーモン・クノーはコチラ

村上春樹氏のアイデアの浮かび方【ET方式の小説の書き方】はコチラ

恩田陸氏の小説のアイデアのまとめ方はコチラ

貴志祐介氏のアイデアの作り方はコチラ

東野圭吾と伊坂幸太郎の対談はコチラ

落選した人に評価シートを送ってください!【新人賞・出版社・小説】はコチラ

小説の書き方まとめ【アイデア・プロット・キャラクター・文体・描写】はコチラ






コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です