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西の天才(藤井聡太七段)VS東の天才(増田康宏六段)
藤井聡太七段と増田康宏六段の対局が、昨日11月20日に行われました。
二人は、西の天才、東の天才と呼ばれていて、今後将棋界を確実に引っ張っていくことになる若きエースです。
今まで二人は、二回対局していました。
1局目は、藤井聡太さんが歴史的な29連勝を達成した対局。
あの対局で負けたのが、増田康宏さんだったのです。
しかし1年後、増田さんは同じ竜王戦の決勝トーナメントの大舞台で、藤井聡太さんに勝ち、借りを返します。
そして二人の対戦成績が1勝1敗の五分で迎えたのが、昨日の対局だったのです。
結果を先に言うと、藤井聡太七段が勝ちました。
しかも、完勝という形で。
では、一体昨日の対局で何が起こっていたのでしょうか。
それを今から解説していきたいと思います。
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異変は3手目からすでに起きていた
ほんとは、図面を掲載していきたいんですけど、やり方が分からないので、符号で説明していきます。笑
かなり分かりづらいですが、言葉のみで、昨日の対局を説明していきます。
(2018年11月23日追記。盤面の貼り方が分かったので貼ります!)
初手、先手番 増田康宏六段、 7六歩
2手目、後手番 藤井聡太七段、8四歩
まず最初の2手は、お互い普通の手ですね。
増田さんが、角道を開けて、藤井さんが、飛車先の歩を突く。
オーソドックスな出だしです。
次に3手目、増田さんの7八銀
何気ない銀上がりですが、この時点ですでに異変が起きています。
それを説明するには、将棋の二つの戦法の違いを解説する必要があります。
将棋は大きく居飛車戦法と振り飛車戦法に分かれる
将棋の戦法は大きく分けると「居飛車戦法」と「振り飛車戦法」に分かれます。
居飛車戦法は、飛車を初めの場所から動かさずに攻めていく戦法です。
振り飛車戦法は、飛車を横に移動させて、そこから攻めていく戦法です。
この二つはどちらが良い戦法というわけではないのですが、まったく違う指し方になってくるので、基本的にはプロ棋士の方はどちらかを専門に指す人が多いです。
そして、藤井さんも増田さんも、プロ棋士になってから公式戦で居飛車戦法しか指していない、純粋な居飛車党です。
その増田さんが、3手目に7八銀と上がりました。
ここは通常なら、6八銀と上がるのがオーソドックスです。
7八銀と上がるのは、振り飛車党の人が指す手で、ここに上がることで6八の地点に飛車を振れる余地を残しているんですね。
つまり、増田さんの7八銀は、
「今日私は、飛車を振るかもしれませんよ」
という、含みを残した手になるんですね。
藤井聡太七段の8手目4二銀の挑発
その後二人は駒組みを続けていくわけですが、
序盤の8手目、藤井さんが4二銀と上がります。
ある意味、この手は本局のクライマックスとなります。
4二銀と上がる手は、いくつかの可能性を消してしまう手なんですね。
穴熊囲い、美濃囲い、という、相手が振り飛車を指してきたときの有効な囲いができなくなってしまう手になります。
相手が飛車を振ってきた場合、こちらの作戦が制限されてしまうので、若干不利になってしまう可能性がある手なんですね。
つまり、4二銀の意味を翻訳すると
「私はここで4二銀を指します。いつも居飛車を指しているあなたは、どうせ振り飛車を指せないでしょう。まあ、指したら指したで私には対策がありますがね。さあ、どうしますか」
このように言ってるわけですね。
藤井聡太七段の4二銀の挑発を、分かりやすくサッカーに例えてみましょう
4二銀の意味を将棋に詳しくない人に分かりやすくサッカーで説明してみましょう。
右足で蹴るのが得意な選手がいるとしますね。
その選手に対して、わざと右足のほうだけ集中的にディフェンスにいきます。
左足の守りはがら空きです。
「右足でいつも蹴っているあなたは、左足では蹴れないでしょう。それとも、苦手な左足で蹴るんですか? まあ、それはそれでいいですけどね」
と、ニュアンスとしてはこんな感じですかね。
多少違いはありますが…。
増田六段、悩んだすえに飛車を振るVS藤井七段のelmo囲い
増田さんが飛車を振るのかどうかに注目が集まりましたが、悩んだすえに飛車を振りました。
増田さん13手目5八飛
2014年10月にプロ入りし、4年目にして初めての振り飛車です。
しかもその相手は、藤井聡太七段です。
この増田さんが飛車を振ったことを、どうみるかですよね。
挑発に乗ってしまった、とみるか、男らしい、とみるか。
僕は、男らしいと思いました。
盛り上げてくれるなあ、と。
ただ、結果的に藤井さんが4二銀を巧く利用して、4二銀、3一金型の、『elmo囲い』というコンピュータが得意としていて、プロ棋士のなかではまだそこまで浸透していない戦い方で、完勝します。
(増田さんのほうが「美濃囲い」、藤井さんのほうが「elmo囲い」ですね)
増田さんはやはり振り飛車に慣れていないのか、本来の力が発揮できていない様子でした。
結果的に、あっさり勝負はついてしまったのですが、序盤にこのように心躍る駆け引きがあったんですね。
今すぐ漫画にしたほうがいいと思うのですが…。
この二人の対局はこれからも続いていきます。
もしかしたら次の対局では、増田六段のほうが藤井七段を「あなたは飛車を振れますか?」と挑発するかもしれません。
これからも、二人の対局を固唾を飲んで見守っていきたいと思います。
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