雑誌『小説現代』で、阿刀田高さんが選考委員のショートショートコンテストが行われていて、毎月五作品が採用されて掲載されるんですね。
その作品を一年分まとめて、六十作品が毎年文庫本になります。(僕の作品も過去に2回掲載されたことがあります)
目次
『ショートショートの花束9』(阿刀田高編)のおすすめ作品ベスト3を発表していきます!
最新刊『ショートショートの花束9』の中で、独断と偏見で選んだベスト3の作品を、僕自身のショートショートの創作の考え方も交えながら紹介していきたいと思います。
今回の本では自分の作品は掲載されてもないのに、勝手に他の方の作品をジャッジするのもおこがましいのですが、ショートショート好きということでお許しを…。
(書いていたら長くなりそうなので、三回に分けます)
第三位 『少数精鋭』 美波孝治さん【ショートショートのオチの考え方】
ショートショートの書き方で「if系」と呼んでいるジャンルがあって、どういうことかというと
「もしこんな世界があったらどうなるだろう…」
という風に考えるんですね。
たとえば、「もし、オナラが禁止された社会があったらどうなるだろう」と考えるとしますよね。
オナラを人前でした人は刑務所に入れられてしまうような社会です。
そうしたら、教室でオナラの音が聞こえたら犯人が見つかるまで全員帰れなくなるかもしれないですし、土手で隠れてオナラをするのがスリリングな不良の遊びになるかもしれないなどという風に、いろいろ世界観ができてきます。
その状況で、一番インパクトのあるオチを考える。
僕がよくやるショートショートの創作の基本的なプロセスはこの手順です。
それで今回紹介する『少数精鋭』はどんなifかというと、
『今日から干支の数を少し減らそうと思う』
って神様が言い出すんですね。
で、ネズミ、ウシ、トラ、サル…って十二支で不要な三匹を話し合いで決めることになる。
ある意味干支のバトルロワイヤルですよね。
まず、このアイデアが面白い。そしてオチも、予想を裏切られるものでした。
if系のアイデアって、「何でもあり」なんですよね。空想の話なんで、どんな世界観も作れる。
ただ、荒唐無稽にしすぎない方が面白い、と僕は思うんですね。
変な世界なんだけど、どこかで現実と繋がっているというか。
この作品で良い例がありますので、引用します。
「ふーん、じゃあとりあえずイヌは決まりね。……アタシはサルに一票」そう言ったのはウサギです。
「前から思ってたんだけどさあ、アンタちょっと頭がいいからって周りをバカにしているところがあるわよね」
サルは十二支の中で一番知能指数というものが高く、頭が良かったのです。それを鼻にかけて周りを見下しているところがあったのかもしれません。
すると、ヘビもそんな心当たりがあるのか、「あ、それアタシも思ってた」とウサギを後押ししました。
「あ、それアタシも思ってた」とヘビが便乗してくるリアリティに感銘を受けて思わず吹き出しましたね。現実でもこういう奴いそうですし、この手の細かいシーンのうまさがこの作品を味わい深いものにしていると思いました。
次回は第二位 「形式系」の創作について、書きたいと思います。
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