福田和也とは何者か
文芸評論家。著作多数。慶應義塾大学環境情報学部教授。毎日のように飲みに行きながら大量の本を読んだり骨董を買ったり遊びに行ったりカツカレー食べたりいろんな人に会いながら、一カ月で300枚以上の原稿を書く人です。エネルギーの塊みたいな人ですね。
福田和也氏の著作(『罰当たりパラダイス』『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法②』)の中から、僕の好きな名言を紹介しています!
先ほど、文章を巧くするための近道はないといいました。
たしかに、その通りです。
でも、王道というものは、あります。つまりは、この悩み、自分の書こうとしているものと、書けるもの、書いたものの格差にさらされ、苦しむということ、苦しみ続けるということ、が文章向上のための、まさしく王道といってよいでしょう。
まあ、正直に云うと、興奮するというのは、一つの才能なのですが。特に、他人が、まったく関心を持たない分野については。
発想する、つまりはひらめきを得るというのは、乱暴に云ってしまえば飛躍をするということです。
人と話をすることは、飛躍をするための、もっとも簡単で有効的な方法です。
というのも、他者というのは、当然自分と物の見方も違うし、知識も違えば、立場も違う。つまりは、自分自身とはまったく違う意識のもとにいるわけですから、他者の意識に降れるということは、ある種の飛躍になるわけです。執筆中に音楽を聴く、というのは集中力を高めるとか、リラックスするといったこととともに、持続力を強めるのに、非常に大きな効果が、私の場合あります。
カンヅメに入って執筆する時は、調子が上がれば、十時間以上にわたって書きづつけることがある。
というよりも、そういう「のった」状態をどうやってつくりだすか、ということが、たぶん職業的な執筆者それぞれの課題なのですが。じゃあ三十までに何を作るか、二つのもの、オレの言葉で云えば、「ハラ」と「フォーム」が必要なんだ。「ハラ」っていうのは、オレはこれで生きていくんだ、文句あるかっていう核みたいなもんだね。押しても引いても引っ繰り返らないような確信。自分は何を最上位にあて、それを守るためには、何でもする、善も悪も関係ない、っていう確信を得ることだ。これがないと腰がすわらない。
「フォーム」っていうのは、生きていく流儀だね、「ハラ」を世間の都合と合わせていくヤリ方だ。若いとどうしても結果に目がいくからね、仕事に成功するとか、女の子を口説くとか。でも、大事なのはスタイルで、それが固まれば結果もついてくる。
ただ、新刊本は、立ち読みしないと買わないからね、というか立ち読みして、そこであたりをつけちゃうんだけど、あたりをつけて買うことを考えると、品揃いとしても、スペースとしても、雰囲気としても、なかなか神保町にはかなわないと思うよ。
「じゃあ、何が大事なんですか」
「結局、人間ていうか、仲間とか、女とか、じゃないかな。あるいは本当に気にいってる音楽とか、絵とかでもいいし。そういうことを巡る経験とかね、思い出とか、料簡ていうのが最終的には一番頼りになるんだよ。それは誰も奪えないものだからね」
「スタイル」とは、自分に課している「行動様式」のことですね。執筆だったら、どの時間帯に書くのか、どういう資料を集めるのか、調子が乗らないときはどうするのか、など、自分なりのやり方を確立していくことが、結果よりも大切なんだ、と福田氏は述べます。
「あたりをつける」というのは福田氏から学んだ重要な手法の一つです。最近ではネットで本を買う人なども増えていると思いますが、中身を全く知らないでレビューなどを参考に本を買ってしまうと、失敗するリスクも増えます。
買ったのに読まない本をなるべく減らすために、実際に本屋でパラパラとめっくって、その数分の間にその本が優れた本かそうでないかを自分で判断してから買うと。これをやるようになってから、失敗する頻度が減りましたね。本を普段からたくさん買う人ほど、あたりをつけて買うことが重要になってくると思います。
週に1回は神保町に行くという福田氏。僕も影響を受けて、神保町の古本屋でバイトをしていた時期がありました。「キッチン南海」のカツカレーは最高ですね!
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