小説を書いていて、キャラクター作りは難しいといつも思うのですが、今回は、事前にあまりキャラをきっちり決めずに、自然体でキャラクターを生み出していく村上春樹さんのやり方を学んでいきましょう。
ちなみに、僕が好きな村上作品のキャラクターは、『ノルウェイの森』の永沢さんです。
目次
周りの人をよく観察して、小説に登場させる
人を描くためには多くの人を知らなくてはならない、ということがやはり言えると思います。
知るといっても、相手を理解したり、よくわかったりするところまで行く必要はありません。その人の外見やら言動の特徴やらをちらっと目に留めておくだけでいいんです。ただ自分が好きな人も、それほど好きではない人も、はっきり言って苦手な人も、できるだけ選り好みをせずに観察することが大事です。
というのは自分の好きな人、自分が関心を持てる人、理解しやすい人ばかり登場させていたら、その小説は(長期的に見ればということですが)広がりを欠いたものになってしまうからです。いろんな異なったタイプの人々がいて、そういう人たちがいろんな異なった行動をとって、そのぶつかり合いによって状況に動きが出て、物語が前に進んでいきます。
だから一目見て「こいつは気にくわないな」と思っても目を背けたりせず、「どのあたりが気に入らないか」「どういう風に気に入らないか」といった要点を頭に留めておくようにします。
~『職業としての小説家』村上春樹著より引用~
僕も登場人物を書くときは、実際に周りにいる人をベースにして、性格や見た目を極端にデフォルメしたりして作ることが多いですね。ゼロから創るよりも、イメージしやすいですからね。
「実在の人物に嘘を混ぜる」というやり方ですね。
小説を書くようになって、人間観察が楽しいとまでは言わないですが、やっておいて損ではない(あとで小説で何かに使える)、と思えるようになりましたね。
多くの場合、僕の小説に登場するキャラクターは、話の流れで自然に形成されていきます【キャラクターシートは書かなくてもいい】
多くの場合、僕の小説に登場するキャラクターは、話の流れで自然に形成されていきます。「こういうキャラクターを出そう」と前もって決めることは、僅かな例外を別にすれば、まずありません。書き進めていくうちに、出てくる人々のあり様の軸みたいなものが自然に立ち上がり、そこにいろんなディテールが次々にくっついていきます。
~『職業としての小説家』村上春樹著より引用~
自分の場合もこれはそうで、【プロット(物語)】はある程度かっちり決めてから書きたいのですが、【キャラクター】に関しては書き始める前は、このひとはどういう人、というのをかっちり決めたくないんですよね。ふわっとさせておきたいというか。
だから、「キャラクターの履歴書を書け」みたいなことがよくマニュアル本に載ってますが、書いたことないですね。
アイデアに関してはメモを沢山取るんですが、キャラに関してはなぜかメモを取るやる気が出ないんですよねえ。
その人物がどれぐらい話を前に導いてくれるか
でも「リアルで、興味深く、ある程度予測不可能」という異常に、小説のキャラクターにとって重要だと僕が考えるのは、「その人物がどれぐらい話を前に導いてくれるか」ということです。その登場人物をこしらえたのはもちろん作者ですが、本当の意味で生きた登場人物は、ある時点から作者の手を離れ、自立的に行動し始めます。
~『職業としての小説家』村上春樹著より引用~
話を前に導いてくれるかどうか。これは名言ですね。いいキャラが出ると、物語が膨らんでいきますね。
というわけで、今後も周りの個性的な人たちを、嘘を交えながら小説に登場させていきたいと思います。
「俺のことを勝手に小説に出すな」と文句を言われたら、「たまたま似てるだけだよ」とシラを切り通したいと思います!
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