(注:この文章は2008年10月7日に書いたものです)
作家の中原昌也さんの、第18回ドゥマゴ文学賞受賞記念の公開対談に行ってきました。
対談相手は、作家の高橋源一郎さんで、対談場所は渋谷のブンカムラ。
200人弱くらいの客が来ていて、業界関係者もたくさん来ていましたね。映画監督の青山真治氏とか音楽評論家の湯浅学氏とか…。
中原昌也さんのイベントはもう10回以上参加しています。音楽ライブとか、オールナイト映画祭とか、中原氏に会えるならどこでも行きます。
中原氏は、作家以外にも、映画評論家・ミュージシャンと、様々な分野で活躍しています。
対談の内容は、ほとんど愚痴でした(笑)
小説を書くことの辛さと、金がないことの大変さを熱心に語っていました。
編集者に十万円借りてまだ返していないエピソードとか、かなり笑いをとっていました。
僕もかなり笑ってしまったのですが、内容はほとんど覚えていません…。中原さんはそこら辺の芸人よりよっぽど面白い。
司会者が「こんなメチャクチャな受賞対談は初めてです」と対談が終わった後に言ったぐらいです。
中原さんは、ずっと「文章なんか書きたくない」と言っていたのですが、本当に文学業界からほとんど撤退したみたいです。今は音楽活動に力を入れていて、文芸誌の仕事の依頼は断っているそうです。(『週刊SPA!』の映画連載だけは金がないから続けるそうです。良かった!)
「だって、文芸誌ってダサいですよ。ライトノベルとか薄っぺらい小説ばかり掲載して」
と、中原氏は文学業界に怒りをぶちまけていました。
安易な感動を押し付けたり、分かりやすい小説ばかりが売れたりする現代で、中原氏は必死に戦かっています。以下、中原氏の受賞の言葉(対談で語ったことではなく、文章として書かれたもの)を引用します。
「いま、ここで普通に感じること以外を積極的に表現しようとすることは、どうやらこの国では罪になるようだ。それはそうだろう。すこしでもこの世界から離れてみれば、いかにすべてが欺瞞で下らないものばかりに満ちているかを感じることになるだろう。虫けらでも感じられるような安手の「感動」を売りつけ、それぞれの個の人間の持つ痛みなどよりも「人間の痛みは皆同じ」ことばかり描いているものばかりを人々は好むように仕向けられている。それを否定することは、この国の政治にとって都合が悪い」
熱い!熱すぎます!中原さん!
中原さんは怒っています。僕は基本的に、怒っているクリエイターが好きです。
中原氏は最後の文学者だと、僕は思います。
早くまた、執筆を再開してくれることを切望しています。
(今回ドゥマゴ文学賞を受賞した作品です。日記にもかかわらず文学の賞を受賞してしまったという凄い本です!中原昌也さんの日常の叫びを観ることができます)
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