作家の村上春樹さんが読者からくる質問にメールで答えていたことがあって、その内容がまとめて本になっています。
(『そうだ、村上さんに聞いてみよう』『これだけは村上さんに言っておこう』『村上さんのところ』
僕が持っているのはこの3冊ですが、ほかにも『ひとつ、村上さんでやってみるか』という本もありますね)
村上春樹氏の含蓄とユーモアのある回答が連発しいてスラスラ読めて、とても参考になりました。
目次
村上春樹さんの名言・言葉まとめ【英語・恋愛・結婚生活・人生】
僕が毎日規則正しい生活を送って、運動をしているというと、「意志が強いんですね」という人がいますが、それは違います。僕は自分に合ったことを自然にしているだけなのです。好きなことって飽きないですよね? そういうのは意志とは何も関係もありません。だから、人生においていちばん大事なのは、何が自分にあっているかをうまく見つけ出すことです。そのためには若いうちにいろんなことを試してみるといいです。
たとえば22で大学を出て、「さあ、一生かけてこれをやろう!」と思えるようなことって、そんなにないでしょう? ですから、僕は前々から「30歳成人説」を提唱しています。30まではいろんなことをやってみて、30になってから人生の進路をはっきりと決めればいいんじゃないかと。それくらいでちょうどいいような気がします。
僕の場合、依頼を受けて小説を書くということがまずなくて、「書きたい」と思ったときにはじめて書きはじめます(それが1週間でおわることもあれば、4年続くこともありますが、とにかく締め切りはない)。だから逆に言えば、書きたくないときには小説は書かないということです。「嫌だな、書きたくないな」と思いながら小説を書いたことは一度もありません。そもそも小説を書きたくて、小説家になったわけですからね。
職種によって少し数字は違ってくるかもしれませんが、10人の新しいお客が店に来て、そのうちの1人が気に入って何度も通ってくれるようになれば、その商売は成功します。逆の言い方をすれば、あとの9人は別に戻ってこなくてもいいんです。ほんとですよ。
それから僕は、嫌なことがあったときなんか、よく走ります。なにかで頭に来たときは、いつもより一キロぐらい余分に走ってしまうと、わりにすっきりします。経験的に言って、「腹が立ったときは自分の身体にあたる」というのがいちばん精神衛生上いいみたいです。身体もそのぶん丈夫になるし。
僕の小説の読者は大まかに言って、<非リアリズム=象徴派>の流れと、<リアリズム=抒情派>の流れに分かれているようです(もちろん多くの人は、その中間のどこかにいるわけですが)。そして『世界の終わり』は主に前者に、『ノルウェイの森』は主に後者に支持されているようです。
マンネリになったことがあるか? マンネリになったら、僕なら、その時点で離れます。それはとてもはっきりしています。人生というのは、退屈しながら生きていくにはあまりにも貴重なものです。ほんとに。
結論から言いますと、外国に長く住んでいれば外国語会話はいやでも上達します。どうして上達するかというと、話せるようになるからではなくて、むしろ聞き取れるようになるからです。
うまく流暢に話せなくても、聞き取りさえある程度できれば、会話(人間関係)というのはそれでけっこううまく成立するものです。なぜならどこの国にも無口な人というのはいますし、喋りすぎる人よりはむしろ無口な人の方が好まれることが多いからです。というわけで、会話のコツはまずリスニングです。
最初の二作(『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』)ではわりにそういうコラージュ的な書き方をしていたと思います。でも『羊をめぐる冒険』からあとは、とにかく頭からどんどん書いていくというストーリー・テリング重視の書き方に、がらっと変わりました。本の内容もそれにつれて一変していると思います。小説を書くのが本当に面白くなってきたのは、そのあたりからです。
結婚生活は非参か? そのとおりです。悲惨です。しかし結婚しなくたって、人生はもともと悲惨なものです。だから二人の悲惨を持ち寄って、もたれあえばいいのです。うまくいけば、ちょっとはラクになれます。下手すると余計に悲惨になることもあります。
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村上春樹さんの好きな名言『一日は二十三時間しかないんだと決めて生きています』
でも一日のうちだいたい一時間ぐらい走る、あるいは一時間ぐらい泳ぐというのは、もう日々のスケジュール中に組み込まれています。
だから僕は一日は二十三時間しかないんだと決めて生きています。
~「考える人~村上春樹ロングインタビュー~2010年夏号」~より引用
村上春樹さんは運動時間をあらかじめ天引きして体力を保つことで、こんなに長い間活躍できているのでしょう!
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