小説の新人賞のシステムにはいろいろ不満があるのですが、まずは今、文学やミステリーなどの新人賞がどういう仕組みになっているのかをお話ししましょう。
作家志望者の新人賞投稿から結果発表までの流れ
作家志望者が、小説を1年ぐらいかけて身を削って完成させますよね。
それで、新人賞を主催する出版社に作品を送ります(郵送やネットで)。
1次選考の発表の日まで悶々としながら待ちます(大体3,4カ月かかります)。
出版社の主催する雑誌に、1次選考通過者だけ、名前が掲載されます。(1次通過できるのは、応募者の1割弱ですね)
落選した人は、そこに名前が載っていなければ、自分が落選したことを知ります。
落選者には、出版社から何も連絡がありません。
自分の作品のどこが悪かったのかもわかりません。
極端なことを言うと、自分の作品が本当に読まれたかどうかすら、分かりません。
その心理状態で、次の作品をまた書かなければならないわけです。
応募者が知りたいのは、「自分の作品がなぜ落ちたのか」ということなのですが、その連絡はありません。
出版社側の新人賞対応の流れ
では、出版社側はどのように対応しているのでしょうか。
新人賞に送られてきた作品を、まず下読みの人(編集者やライターや作家など)が読みます。
その人たちが、どの作品を落として、どの作品を残すのかの最初のチェックをしていくわけです。
さて、その際に、何らかの落とす理由があるはずですよね。
「キャラが凡庸」
「文体が村上春樹のパクリ」
「どんでん返しが弱い」
とか。そのような理由を、下読みの人たちはおそらく考えて、出版社に告げて落としているわけですよね。
だったら、下読みの人たちの落とした理由のメモを、応募者に評価シートとして送ってくれればいいじゃん。
という話なんですよね。
「評価シート」というのは、作品の感想を書いたものですね。
ABCDEみたいにランク付けすることもあれば、キャラとかストーリーとか項目ごとに、軽くコメントを書いてあったりするみたいです(実際に見たことがないので、詳しくないのですが)
ライトノベルの新人賞では、応募者全員に評価シートを送る賞もあるそうです。
ただ、文学やエンタメの新人賞では、評価シートを送っている出版社はまだほとんどないと思います。
出版社が評価シートを送らない理由
出版社が評価シートを送らない理由もなんとなく予想がつくんですよね。
シートをいちいち書くのに手間がかかるというのもあると思いますが、事細かに落とした理由を書いた紙を送ったら、クレームを誘発する可能性が高いですからね。そのクレーム対応は、確かに面倒だと思います。
だから、タダでやってくれとは言いません。
「評価シート」は有料にしてもいいと思います。
例えば、3千円とか5千円支払えば、評価シートをもらえるという仕組みにすれば、応募者の何割かが申し込んで、3千円を千人が申し込めば、3百万円の収益が出版社に入るはずです。
その収益を作業の費用と考えて、「評価シートを書いて送る作業」と「評価シート送ってからの電話対応」を大変だと思いますが頑張っていただければ、出版社と応募者の関係も良好になります。
評価シートを導入することで、応募者と出版社の間に信頼関係が生まれる
新人賞に対するモチベーションが上がる応募者が増えていけば、最終的に新人賞を受賞する作品のレベルも、今より上がるはずです。
そして、応募者と出版社との信頼関係が生まれると思います。
「この賞に送れば、ちゃんと読んでくれる、ちゃんと評価してもらえる、ここで落とされたら文句は言えない」
という信頼関係こそが、出版業界を発展させていくために、必須なものだと考えます。
(現状では、応募者と出版社の間に信頼関係は、はっきり言ってほとんどない、と僕は考えています。ディスコミュニケ―ション状態なので)
出版関係者の方がこのエントリーをもし読んでくださっていたら、新人賞への評価シートの導入をご検討いただければ幸いです。
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